『仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』 (中公新書) 筒井 淳也 著

  • 2015.07.05 Sunday
  • 12:34

『仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』

  (中公新書)

  筒井 淳也 著 

   ⭐⭐⭐

   良くも悪くもデータ分析

 

 

1970年代以降、夫婦の働き方のモデルや出生率を
主に日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンのデータ比較によって、
考えていく本です。

数多くのデータが示され、筒井の丁寧な分析もあって、
読み進む上では不満はなかったのですが、
読後には物足りなさが残りました。

たとえば、男女の未婚化の原因について、
女性の高学歴化や男性の過剰労働などの社会的要因は考察されますが、
当人たちの意識についてはあまり考慮されていないのです。

たとえば、自分の趣味の充実を優先する人などが、
異性より消費に金をかけているとか、
「一人が気楽」と考える人が増えているとか、
当事者の心境変化はデータに入っていません。

結婚したいかどうかは社会構造だけで決まるわけではないと思います。
特に日本のようにピア・プレッシャー(同調圧力)の強い社会では、
独身仲間がある程度増えると、結婚への圧力が機能しにくいとか、
そういう心理的な問題もあるのではないでしょうか。

また、女性の社会進出の分析にしても、
日本社会のあり方への批判が最小限に抑えられているため、
何が問題なのかわかりにくくなっています。

たとえばアメリカもスウェーデンもドイツも同一労働同一賃金ですが、
日本では企業に非正規雇用の乱用を許していて、
正社員と同等の仕事でも低賃金が横行しています。
筒井もその事実は指摘するのですが、
日本も同一労働同一賃金にすべきだとは書きません。

せっかくデータで問題を明確化しても、
日本の現状をどう変えるべきかの結論部が、
2ページくらいであっさり終わってしまい、
なんとなく穏当なことを言って終わるのが消化不良ではありました。

 

 

 

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