高山れおな朝日俳壇選者就任の不可解への佐野波布一のコメント

  • 2018.07.09 Monday
  • 12:59

  高山れおな朝日俳壇選者就任の不可解

                     への佐野波布一のコメント

 

 

   適切と思えない人を選者に起用する朝日新聞の不見識

 

 

どうも、佐野波布一と申します。

 

朝日新聞に一般公募の俳句から4人の選者が選んだ俳句を掲載する「朝日俳壇」というコーナーがあります。

そこで長らく選者を務めた俳句界の重鎮、金子兜太が亡くなって欠員が出たあとに、

その後釜に高山れおなが選ばれたと知り、

新聞を購読していない僕は7月8日の朝日新聞をコンビニで買ってみました。

 

高山れおなは以前に朝日俳壇のコラムを書いていて、すでに朝日新聞と「つて」があるのは知っていたので、

彼が選ばれたことにはそれほど疑問はなかったのですが、

朝日新聞の俳句に対するナメた認識に関しては正直不愉快さしか感じませんでした。

 

というのも、俳句の選者というのは単なる著名人の「興味」や「好み」で行われるべきものだとは思えないからです。

ある一定の理念のもとに結社の「先生」として後進を指導した経験を持っていたり、

実作や批評において広く尊敬される確固たる美意識を示している、

その実績においてこそ、その人の俳句の「選」というものが一般に通用することの秤となるのです。

しかし、高山は結社の先生として俳句の指導をしたことがないのはもちろん、

何かの賞の審査員などで確かな俳句の選をした実績もほとんどないのです。

その上、彼の実作者としての実力が一流と言えるかどうかという点にも大いに疑問が残ります。

他の選考者(大串章、稲畑汀子、長谷川櫂)と比べると見劣りすることは否めません。

高山は若手傍流集団のボス的地位にはありますが、それだけでは後者の条件にも見合う人物だとは評価できません。

 

金子兜太が前衛枠(そんな枠があるのか?)だと考えて、若手の前衛路線の人を選びたいにしても、

それならよっぽど賞の審査などを経験している関悦史を選んだ方が納得できる気がします。

まあ、マスコミ関係の仕事もしていて、朝日と「つて」があるから仕方ないのかもしれませんが、

高山がズレた俳句を評価して一般的な俳句を侮っている俳人であることは、

彼の同人誌「クプラス」の「いい俳句」特集に自ら寄せた文でもよくわかります。

 

「いい俳句」について、独自の意見という程のものもない。人々が「いい」とする句は、程度の差こそあれ大抵自分も「いい」と思う。この頃関心があるのは、「いいパイク」の方で、これはまず「わるい俳句」であることが前提となる。

 

俳句を「パイク」とズラしているのは、それが一般的には「わるい俳句」に見えるからです。

つまりは俳句らしくないけど面白い、というような価値観なのですが、

じゃあ前衛的な新しいものを好んでいるかといえば、

そんなことを言いながら、高山の実際の句作では過去の作品をプレテクストとしたものが主流なのです。

つまり、高山は「ズレ」を価値として評価する、今更ながらのポストモダン的な発想を評価している人なのです。

 

小さなズレを理解するにはプレテクストの理解が欠かせないのはオタクの世界と同じで、

ある種のオタク的知識が作品鑑賞の前提となるため、一般人や初心者とは縁遠い俳句観の持ち主であるのはハッキリしています。

僕は「週刊俳句」で関悦史に対して批判コメントをしたところ、この高山に俳句をやらない人間は俳句を語るな、とばかりに文句を言われました。

僕はこの発言に対して謝罪して退散したのですが、それでも「俳句は俳人にしかわからない」などという意識を持った人が、

新聞俳壇の選者にふさわしいとは到底思えません。

ですから、高山大先生にとっては、たいして俳句に詳しくもない一般人の俳句の選など、

心底気が進まなかったはずなので、「深く俳句を理解していない奴の句なんか読めるか」と強くつよーく固辞したに違いありませんが、

それにもかかわらず、こういう人を一般公募の新聞俳壇の選者に起用する朝日新聞の俳句文化に対する浅はかな理解はどうかと思います。

 

俳句指導の経験も乏しく、客観的な基準での審査経験もよくわからない人を選者に起用するということは、

その人の個人的もしくは私的な感覚で俳句選をしても良いと認めているに等しいからです。

選者が個人的な感覚で選をすることが当然となると、俳句の良し悪しに関する公的な基準がなくなるわけですから、

俳句観の怪しい選者の共感があるかどうかだけが基準になってくるわけです。

ならば、選者など誰でもいいではないか、ということにならないでしょうか。

 

さて、その高山れおな大先生の第一回の選句を興味深く拝見させていただきましたが、

最初に選んだのは北嶋克司さんの次の句でした。

 

不忘碑に蛍が一つ付いていた

 

「不忘碑」は戦時中に起こった新興俳句弾圧事件の記憶を風化させないために金子兜太らが作った「俳句弾圧不忘の碑」のようです。

「蛍が一つ付いていた」はその金子の句「おおかみに蛍が一つ付いていた」からの流用です。

金子の後釜に座った高山が前任者へのリスペクトを込めて選句したことを思わせるものでした。

 

ただ、プレテクストを参照する句を好むのは高山自身の句作そのものであることも忘れてはいけません。

いきなり1句目から自分の「興味」や「好み」で選句したということもまた事実です。

もちろん、このような選句は前衛性とは何の関わりもありません。

 

そもそも高山が前衛に位置する俳人であると僕は思ったことがありません。

前述したように、ただ伝統俳句や日常詠をズラすことに価値を認めている人という印象です。

金子兜太は安倍政権への反対を強く打ち出していましたし、原爆・原発などに反対する活動もしていました。

しかし、高山は前衛性もないただの「趣味人」でしかなく、政治性など皆無と言えます。

この人が金子の何を引き継ぐというのでしょうか。

高山の句にこのようなものがあります。

 

げんぱつ は おとな の あそび ぜんゑい も

 

原発と前衛とを「おとなのあそび」で一括りにしています。

このように、ただ一人自分がメタに立って周囲を侮るような視点が、高山や関悦史一派の俳句の特徴です。

こんな俳句を書く人に金子は本当に後を受けてほしいと思っていたのでしょうか。

朝日新聞は政権に批判的な「左翼」系だと一般には思われていますが、

僕はだいぶ昔からこの新聞は魂を売ったファッション左翼のエリート新聞だと思って読むのをやめています。

金子から高山へのバトンパスは、その意味では必然的な流れだとも感じています。

 

それから、僕は高山や関悦史が戦中の「俳句弾圧」を取り上げ、

被害者の系譜に自らが連なっているかのような態度をすることが許せないと思っています。

ユダヤ人がホロコーストの被害者という立場でナチスを批判しながら、

イスラエルとして平気でパレスチナ人を虐殺しているように、

彼らは俳句弾圧の被害者への共感を漂わせながら、

自分たちを批判する者の言説を平気で弾圧してきた人間なのです。

こういう奴に限ってユダヤ的な〈フランス現代思想〉を表層的にしか理解せずに振り回したりしています。

クサレ俳人やその仲間を起用してしまうことで、新聞は自らの批判精神がいかにインチキであるかを立証し続けることになっています。

文化状況の裏面まで理解できないのであれば、

新聞は早く文化に関わるのをやめて、政治や経済のニュースに特化していくべきだと思います。

 

ついでなので書いておきたいのですが、

高山れおなが朝日俳壇の大先生になったことで、その手下の上田信治が四ツ谷龍のツイッターに難癖をつけた場面に出くわしました。

上田が問題にしたのは四ツ谷の次のツイートです。

 

四ッ谷龍@leplusvert

 

選考委員とか選者とか、できるだけやりたくない。他人に対する評価なんて、本質的にむなしいものなんだ。

裕明賞は裕明の賞だから引き受けて、必死にやっている。これは別のもの。

俳句の世界では、選者をやりたい人とか俳句地図を作りたい人がいっぱいいる。好きにやればと思う。

午後8:06 · 2018年6月17日

 

表面的には「俳句地図を作りたい人」が上田のことを暗に指しているということで上田が反発してモメたように見えますが、

僕はその前に四ツ谷が「選者をやりたい人」と書いた相手が暗に高山れおなを指していることに、

手下の上田が反発したのだろうと解釈しています。

ボスが出世するのは手下の喜びでもあるので、それを面白く思わない人には攻撃を浴びせるというのが彼ら一派のやり方です。

僕もよく攻撃対象にされるので、このあたりは非常によくわかります。

(こう書いておけば上田からのくだらないイチャモンを避けられるのではないかと期待しています)

 

しかし上田は、田中裕明賞で四ツ谷が上田のお仲間の句集に攻撃的論陣を張って受賞を阻んだとか何とかツイートしていましたが、

それってそもそも僕のレビューを嚆矢として言われるようになったことですよね。

僕の言説に乗っかってよく言うよ、と思ったことを付け加えておきます。

まあ、乗っかり虫は何にでも乗っかるのかもしれませんが。

 

 

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