『自民党―「一強」の実像』 (中公新書) 中北 浩爾 著

  • 2017.05.22 Monday
  • 08:07

『自民党―「一強」の実像』  (中公新書)

  中北 浩爾 著 

 

   ⭐⭐⭐

   「一強」とは言うものの

 

 

政権交代で成立した民主党政権が2012年に下野してから、
自民党は安倍晋三首相のもとで安定した支持を維持しています。
本書の副題は「「一強」の実像」となっていますが、
自民党一強と安倍一強の両方を視野に入れているようです。

リクルート事件というスキャンダルを受けた選挙制度改革によって、
政権交代可能な二大政党制をめざした小選挙区制が採用されましたが、
それが皮肉にも自民党の「一強」を導く結果となっています。
中北はそのような自民党の現状を多くのデータに基づいて歴史的に検証しています。

党中党と言われた派閥の弱体化や、
総裁権力の増大、官邸主導の政策決定と順々に分析されますが、
小選挙区制が候補者を選定する党指導部の権力を強めたことは、
すでにわかっていることを立証しているという印象でしかなく、
学問的手続きに興味がない人にとっては、あまり興味深い内容ではないかもしれません。

その後は自民党の背後にある支持母体などの分析に入ります。
友好団体や地方組織、個人後援会などが対象です。
おおむね、かつての自民党と比べて弱体化していて、
「一強」であるわりに中身はそれほど盤石ではないという感じでした。
安倍の右派的理念も支持を高める効果を持っているわけではなく、
左派的スタンスの民主党(民進党)への対応だと中北は見ています。

中北はハッキリと述べてはいませんが、
自民党の基盤は以前より弱体化しているように思えます。
そのため、「一強」というより他が弱すぎるというのが実感です。
僕としては、政権交代に妙に懲りてしまった国民の、
「もう安倍自民党に永遠に任せるしかない」という政権交代アレルギーのような風潮が、
自民党の現状を支えているように感じているのですが、
それを誰かが分析してくれないものかと思っています。
(だいたい世論調査をすると「他にいい人がいない」が主な支持理由だったりしますよね)
自民党の強みはその中身にあるのではなく、
「老舗ブランド」の安心感というところにあるのかもしれないのですから。

 

 

 

評価:
中北 浩爾
中央公論新社
¥ 950
(2017-04-19)
コメント:『自民党―「一強」の実像』 (中公新書) 中北 浩爾 著

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