『グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命』 (朝日新書) エマニュエル・トッド 著

  • 2016.11.06 Sunday
  • 23:08

『グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命』

  (朝日新書)

  エマニュエル・トッド 著 

   ⭐⭐⭐

   予言者トッドのお言葉

 

 

世界が混迷を極めているのは誰でもわかっていることですが、
先々どうなるかは誰にもわかるはずがありません。
そんな不安な国際情勢に答を求めてトッドがいつのまにか予言者のように扱われているのですね。

帯のアオリからはそうは見えませんが、トッドは人類学者で歴史学者です。
家族構成や人口変動、識字率、出生率などからその文化の特徴などを研究するのが専門のようです。
本書でも原始の家族形態は核家族であったと自説を語っています。

そんなトッドが自由貿易に反対する本を出したころに僕は彼を知ったのですが、
以前、TBSのニュース番組でインタビューを受けている映像を見ました。
国際情勢や日本がこれからどうすべきか、を尋ねていた気がしますが、
国際政治学者でもない人に、どうしてそんなことを聞くのか不思議でしたが、
なるほど、日本では国際情勢の予言者のような扱いをされているのですね。

本書はインタビューで構成されているためか、行間もスカスカで、
過去のインタビューも混じっているため、割高な買い物と覚悟して購入しました。
読んでみると、やはり前半部しか面白いという印象はありませんでしたが、
それでも価格に見合うくらいの満足感はありました。

特に面白いのはトッドが日本人の心情など無視しているところです。
トッドが日本の核武装をすすめるコメントをすると、
インタビュアーが被爆国であり核廃絶を訴えてきた日本人の庶民感情で違和感をぶつけることになったり、
日本はアメリカとの関係ばかりに頼らず、ロシアを含めた安全保障を考えるべきだと言ったり、
小さな島の領土問題で騒ぐことを「偽りのナショナリズム」と言ってあきれてみたりします。

ヨーロッパ人にとって遠い過去になった戦争のことでまだ騒いでいるアジア人が、
トッドにはどうにも理解できないという感じなのです。
なるほど、ヨーロッパ人から見ればそうなるのだろうと面白く読みました。
たしかに日本人にとって世界とはアメリカと東アジアであって、
本当のグローバル世界ではないのかもしれません。

トッドは文化形態で世界を考えるので、
アメリカというより「アングロ・サクソン」という捉え方になるようですが、
そのあたりも日本人の感覚とはかなりギャップがあるのではないでしょうか。

その意味でトッドの発言が日本人にとって予言的役割を果たすかというと、
僕には疑問なのですが、
日本人は自分で考えるより、偉い人にどうすればいいか教えてもらいたい思いが強いのかもしれませんね。

 

 

 

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM