『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』 (中公新書) 本村 凌二 著

  • 2016.09.02 Friday
  • 08:14

『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』 (中公新書)

  本村 凌二 著

   ⭐⭐⭐⭐⭐

   競馬マニアも納得のガチ歴史

 

 

古代ローマ史が専門の歴史学者が趣味(?)の競馬を歴史的アプローチでまとめた本です。

僕自身20年来の馬券師ですが、血統派でないこともあって競馬の歴史には無知でした。
サラブレッドがアラブ馬やターク馬(トルコ産)をもとにイギリスで誕生したことも、
明確には知りませんでした。
(そういえば、昔はアラブ限定のレースが中央競馬にもありましたね)

サラブレッドの3大始祖というのが、
バイアリーターク、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアンだそうで、
ダーレーとかゴドルフィンとか、今でも聞く名前が出てくることに驚きます。
ドバイの王族が競走馬を所有しているのは石油バブル的な趣味かと思っていましたが、
もともと競馬はアラブにルーツがあったのですね。

そのダーレーアラビアンの系統から1764年にエクリプスという怪物が生まれます。
現在のサラブレッドの父系をさかのぼると、9割がエクリプスに至るそうで、
同一親族で競争をしているのが近代競馬ということになりますが、
エクリプスが勝ったときに2着は視界にもなかったという強さには驚きました。
(とはいえ、当時のレースは6400mも距離があったわけですが)

個人的にはダービーよりオークスの方が1年早く誕生しているのも興味深かったです。
3歳という未熟な馬を走らせると予想が難しいという発想からこれらのレースが生まれたという話は、
競馬がいかにギャンブルと切り離せないかを示している気がしました。
(現在の日本ダービーがなぜか内枠に人気馬が集まり固く収まりがちなレースなのは皮肉ですが)

日本の血統派に馴染み深い馬もたくさん紹介されます。
ハイペリオンやニジンスキー、ミルリーフ、ノーザンダンサーなどがどんな戦績だったか手軽にわかります。
ダンチヒがたった3戦(全勝)で引退していたことも初耳でした。

歴史学者の本村らしく、「世界史」している内容にも感心します。
イギリスでサラブレッドが生まれた当時は、世界的にはドイツの方が上で地位は低かったとか、
フランスがイギリスに対抗するためイギリス馬の輸入に努めたとか、
アメリカでは短距離馬が隆盛したとか、南米や日本にも視野を広げていて、
書名に違わぬ内容の濃さには競馬マニアも納得するのではないでしょうか。

日本では16年間馬券の発売が禁止されていたというのも知りませんでした。
安田記念に名が残る安田伊左衛門の尽力で馬券の販売が復活したそうです。
有馬記念に名が残る有馬頼寧が戦後に公職追放されたのちに中央競馬会理事長になったなど、
レースでは何度もお目にかかった名前が実在の人物とリンクするのも楽しいです。

副題に「21世紀の凱旋門賞まで」とあるように、
現在の日本競馬の悲願は凱旋門賞の制覇のようです。
オルフェーヴルの惜敗はスミヨンの故意の早仕掛けが原因だと僕は疑っていますが、
本来は騎手も日本人で制覇する方がいいように思います。
短期免許のフランス人は信用できないから、イタリア人騎手を日本所属にする発想もわからないではありませんが、
種牡馬の輸入で日本馬は強くなっても、日本人騎手のレベルが上がらないと、
真の意味で日本の競馬文化が成熟していることにはならない気がします。

 

 

 

 

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