『日本古代呪術 陰陽五行と日本原始信仰』 (講談社学術文庫) 吉野 裕子 著

  • 2016.06.05 Sunday
  • 08:03

『日本古代呪術 陰陽五行と日本原始信仰』

 (講談社学術文庫)

 吉野 裕子 著

   ⭐⭐⭐⭐

   異質の思想を融合する日本パワー

 

 

僕は民俗学より古代呪術への興味で本書を購入しましたが、
さすがに陰陽五行説自体の内容はアッサリ触れた程度でした。
しかし吉野裕子はすごい人みたいですね。
主婦をしながら在野で研究をするうちに、民俗学の大家になるのですから。

本書だけでも吉野の学説の核は窺い知れます。
彼女は日本の原始信仰に中国伝来の陰陽五行説が融合したと主張しています。
本来、異質な思想の融合など不可能なのですが、古代日本人はそれを可能にしてしまったのです。
ただ、それが正しいのかどうかは証明が難しく、
こじつけとしか思われずに悔しい思いもしたようです。

吉野は学者めいたレトリックを好まず、簡潔に自説を述べるスタイルなので、
文章の面で損をしている印象もありますが、
蛇や穴などの原始信仰についての考察はもちろん、陰陽五行説との関係も十分に説得力を感じました。
「私見」とつけて大嘗祭を2つの説の融合から考察した論考も刺激的です。

古代には女陰が信仰の対象であったことなど、
女性の研究者が書くとウエットな印象が出そうなものですが、
吉野にはそういう面がまったく感じられないことにも好感を持ちました。
単に真実への興味が強い人なのでしょう。

難点を言えば、陰陽五行説の理解が難しいために、
門外漢は吉野の主張にただついていくだけになりがちだということでしょうか。
そのため、腑に落ちるというところまで達しないで、
「ふーん」という感じで終わってしまうのが惜しまれます。

 

 

 

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